講演者:川口 衛(川口衛構造設計事務所主宰、北海道工業大学客員教授)
川口先生がこれまでに手がけてこられたスポーツ施設について解説いただきました。
代々木競技場第1体育館の設計においては、コンピュータの無い時代であり、手動計算機を用いて解析しつつ、実験を行い設計されたことをお話しいただきました。近年、コンピュータを用いて解析を行った結果、その結果は大きく違わないことを確認されるとともに、設計当時も計算結果が大きく違わないであろうことを応力の分布から感じておられたとのこと。現在、コンピュータを用いればほとんどの構造物は解析できますが、その結果についての検証は人間が行います。構造設計は、頭脳だけで行うのではなく、ましてや、コンピュータ任せにするのではなく、全感覚を用いて感じ取ることが重要であることを示唆していただきました。
さらに、構造には合理性が重要であること、この合理性は建築の形態を支配するのでは無く、様々な方向へ高める可能性を秘めていることを、同じテンション構造を合理的に用いたフライ・オットー設計のミュンヘンスタジアムと代々木競技場を比較して解説いただきました。
最後に、近年設計されたドームに用いられているパンタドーム構法についても、その着想から解説いただきました。
文責:前田 准教授
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