LPKF基板加工機

09年度にロボット工房に導入された基板加工機の利用に関するメモです。以下随時修正 (LastUpdate:2009.12.08)

LPKF ProtoMat S42

導入された機種は LPKF社のProtoMat S42 重要なスペック ガラスエポキシは工具の寿命が短くなるようです(経験的に)。特性など気にしないのであれば紙フェノール(ベーク)を選択するべきかも。

大まかな工程

付属のソフトウエアは原則としてパソコン一台でしか使用できない。そこで以下のような工程になると考えられる。
  1. 個別のパソコンで別のCADソフト(PCBEやEagleなど)で基板パターンを描く
  2. 加工機に接続されているパソコンにファイルをコピーし、変換などを経てCircuitCAMに取り込む
  3. CircuitCAMからBoardmasterへ、加工開始
すでに色々なCADソフトからのインポート設定ファイルが付属しており、ガーバーデータのファイル名さへ間違わなければ、例えば 「PCBEファイルをCircuitCAMに取り込む」ことは簡単にできる。

Eagleの場合の方法はココに綴ってみました。

PCBEでの作業

PCBEでの作図における注意点

ガーバーデータとホールデータさへあればよい。配線のデータ、外形データ、穴のデータの3種、もちろんCircuitCAM Lite上での編集もできる。

図はPCBEでのレイヤーの内訳です。右下の>>ボタンを押すとレイヤー孔も見れます。色はここで変えれます。

余談ですが、なにげにほぼ毎年バージョンアップしてるんですね気付きませんでした。

ガーバー出力、ホール出力

  1. PCBEを起動し、コピーしたファイル(xxx.PCB)を開く。
  2. メニューから ファイル→ガーバー出力 を選択、出力ボタンを押す。
  3. メニューから ファイル→ホール出力 を選択、出力ボタンを押す。
同じフォルダに新たにガーバーデータ(xxx.GRB)とホールデータ(xxx.hol)、およびそれぞれの工具設定ファイル(xxx.lst)が作られていることを確認する。 ファイル名が大事になります。片面基板であればpatan1.grb,board.grb,hole.holの三つができていればOK

CircuitCAM上でのインポート作業

PCBEで出力したガーバーデータとホールデータをCircuitCAMで読み込む作業をする。

  1. CircuitCAMLiteを起動する。
  2. ファイル→新規作成→@PCBE.cat

  3. ファイル→インポート

  4. patan1.grb,board.grb.hole.holを選択(ctrlを押しながらマウスでクリック、3つ同時に選択)

  5. エラーがでちゃいますけど・・・OK

  6. PCBEの場合、使わない孔が左下に出てくるので、図のようにマウスで選択してdelで消す。

  7. インポート終了

CircuitCAM上でBoardMaster用のデータを作る

以下ではBoardMaster用のデータを作っていく。

  1. 外形カットAボタンを押す。使用ツールのツールが選択されていないので、2.0mmを選択、実行ボタンを押す。

  2. 上の図のbreakoutのautomaticをチェックすると、四辺が切り離されないような経路が作成される。これは加工中に中身が吹き飛ばないようにしている。

  3. ラブアウトCボタンを押す。これは外形の内側で赤いパターン以外の黒い部分を削る領域を指定する作業です。ミッツの加工機でいうところのハッチング領域を指定する作業に相当します。
  4. ボタンを押しても変わらないように見えますが、カーソルが十字に変化してると思います。外形内側の右上でマウス右ボタンを押し続け、左下まで引っ張り領域を指定します。(お絵かきソフトで四角を描く要領で)
  5. インシュレートDボタンを押す。パターンの輪郭、および先のハッチングの加工経路などを自動的に決めてくれます。

    注意されます。すべての加工経路としていしたのに部品側のデータがないとか怒られてるだけです。片面なので当たり前です。

    結果的に下図のようになります。

  6. エクスポートEボタンを押す。「xxx.LMDファイルのエクスポート」と表示したウインドウが開きますので、「OK」を押す。

  7. CircuitCAMLiteでの作業はこれで終わりです。

BoardMasterで加工

ココ で説明してるとおりで問題ないと思います。本体が到着しました。説明も受けました。付属のマニュアルも日本語です。覚書として以下つらつら書く予定です。

後日、作業してみたんですが、WinXPが省電力設定になっていて、30分後に戻ってみたらサスペンドになっていて、なんとBordMasterがハングっちゃってました。トホホ。 作業をしてみてわかったことがいろいろありますが、図の構成によりますが、わりと輪郭カッターより、1mmのミーリングの方が酷使する。BoardMasterは1mmのドリルをすごい使い方(回転させながらグリグリした!)をする。ので消耗しそうなのは1mmドリル刃と1mmミーリングでは?と感じた。あとOSの省電力設定は全部きってつけっぱなし状態に設定した。

作業で気をつける点など、気付いたこと、感想など、とりあえず書いておきます。後日整理します。

基本事項

BoardMasterは常にパソコンとシリアル通信しています。基本的にパソコンがハングしたら終わりです。余計な作業はやらせないこと、とくにWinの自動アップデートなどは危険です。

先の関係上、先にS42の電源を入れてからBoardMasterを起動します。

ホームポジションは左右の基板などを固定してるピンの左側のピンの近くが基本です。表紙が白いマニュアルのPage16の「マシン設定ダイアログ」の値がほぼあってます。ただし、両面基板をやる場合、ホームはズレます、というかズラします。

BoardMaster上の右上の停止ボタンです。escキーは押すとハングります、危険です。

さらに作業を積み重ねていて判明しましたが、停止ボタンも止まることは止まるのですが、再作業に移行できない場合があります。どのタイミングで停止ボタンを押すべきか?がまだわかっていません

上記のようにハングした場合、砂時計が永遠などになります。5分くらい砂時計ならもうだめです。諦めて、S42の工具が回転切削状態なら手で持ち上げてS42の電源を落とし、BoardMasterも強制終了、S42の電源を入れなおし初期ポジションにもどると思います(そのあいだ工具が落下しないように手で持ってるといいかも)。怖かったら、初期状態に戻ったS42の電源を落とし、Winも再起動です。もちろん途中でハングったら加工中なら、その基板はお釈迦です。

片面基板がいいと思います。オートルータだと両面どーんと出しちゃうので致し方ないですが、センスと根性と頭使って片面に修めましょう。

ちなみに配線は0.3以上にした方がいいです。できれば0.5以上です。一応、溝の限度が0.2ですし、配線も0.2が出来るようですが心細いです。

S42で基板止めピンの孔加工のCircuitCAMのデータができました。若干丸孔の方がキツメです。丸やすりで二、三回くるくるするとばっちりです。1mmルータでφ3.01の丸孔と長孔を左右280mm離して開けるデータです。実はPCBEで書いて変換しただけです。CircuitCAMでかくともっと簡単に丸が書けるのかもしれない。

大量に板を買ってきたら、ピン赤棒を抜いて大きめの下敷き+買ってきた基板を一枚乗せ、テープで固定して横中央線上に上のデータを使って孔をあけ、つぎつぎと先に孔をあけた基板を作っておくといいと思います。とりあえず3枚だけおまけでもらった両面基板には孔をあけておきました。

あんまりピン赤棒を抜き差ししてるとユルユルになるので片面であってもピンを利用するなり、デカ孔をあけて回避したりしてほしいです。デカ孔はボール盤で適当に280mm間隔で開けてください。

残念なことにマニュアル(pdfも紙も)の写真は別の機種(上位のオートツールのもの)だったり、BoardMasterも旧版のだったりと、若干読み替えが必要になってきます。

基板を加工

  1. PCの電源を入れる。
  2. S42の電源を入れる。

    写真はOFF状態です。

  3. BoardMasterを起動する。S42が初期位置確認のためにデコーデコーとちょっと微動する。

    BoardMasterの画面上にはグレーの領域上にウォーターグリーンの領域が載っている状態が初期画面。グレーがS42の稼動範囲でウォーターグリーンが稼動するテーブルだと思います(マニュアルに明確に書いていない)。つまり、グレーの領域からグリーンがはみ出してる部分は加工できません。この位置は、設定→設定で表示されるマシン設定の左下「ホーム[mm]」の値を変えるとグリーンの位置が変わります。

    この図ですと、下の領域がはみ出ているので、この部分は加工できません。

  4. たぶんテーブルが右奥にあるので、基板を取り付けるために、BoardMasterでPマークを押し、テーブルを手前にもってくる。 ちなみには工具が左手前に移動する(工具交換位置および初期位置)。
  5. 下敷きが既にあれば、基板をテープでがちがちに留める(もちろん下敷きも)。止め方は色々だが、工具の最下部の黒い部分が基板上を滑って加工するので端を固定することになる。

    写真は下敷きを下方部で留めて、その上から基板の上下をテープで留めている。下敷きを先に留めておくと、ひっくり返したとき基板と一緒に下敷きがついてこない、との思惑で。

  6. BoardMasterの起動初期状態では基板は認識されていない。工具を左手前と右奥に配置し、設定→基材、で覚えさせる。青いマニュアルのP.70。S42では工具先端の黒いプラチックを基板上に滑らせながら加工する。ことをフマエて、テープ、ピンなどがXY平行移動でぶつからない位置を覚えさせるのがコツ。自分でどの領域を認識させたのか?が大事。一応、ピンは基板から頭を出していないはずです。

    を押して、十字キーで若干移動させ、例えば左手前は写真のような位置。ピン(黒い点で見えてる)より右です。

    工具をやさしく上から押すと、基板上に黒い部分を押し付けることができます。テープにかぶらなければよい。

    右奥はこのあたりでしょうか

    BoardMaster上で基板加工領域を認識させると図のように濃いグレー領域として表示されます。グリーンの中にあってその下の薄いグレーに入っていれば問題ないと思います。

    バグなのかどうかわかりませんが、必ず左手前→右奥と認識させないとグレーの領域が現れません。


    両面基板の場合、ここでホーム調整をする。ちなみに青いマニュアルはホボ間違ってます。白いマニュアルのPage28,29を見てください。

    ホーム調整とは左側固定ピンの真横(y方向がドンピシャで、x方向はずれてていい)に合わせることです。つまり「基板をひっくり返してもホームは同じ」となる調整のことです。

    ちなみにY方向とは奥行き方向で、x方向は左右のことです。x方向はピンのおかげでずれるわけがないのですが、y方向はひっくり返すと両側のピンを結んだ線に関して対称に配置されるわけです。なのでホームをこの線上に認識させないとひっくり返したときに線対称にズレルわけです。

    ところで、基板の左端と左側の固定ピンの間の1cmくらいのところでこの操作をすると、領域を無駄にしなくていいです。上のルーペ写真をわかるひとが見ればわかるんですが、溝が太すぎです。これをやる前に上下調整もやっとかないとだめなのです、とほほ。この労力がいらなくなるのが専用カメラなんですね、うーん。


  7. 基板(および下敷き)を固定したら、BoardMasterにCircuitCamで作った、LMDファイルを読み込ませる。ファイル→インポート→LMD/LPR、もしくは左から2番目のボタン
  8. 読み込ませると、BoardMasterが、いい加減な位置(真ん中)に勝手に配置する。便利なボタンもあるし、同じものを配列することもできる。回転もできる。マニュアル読め。図上で右クリックすると配置設定画面が出てくる。ここまでをJOBファイルとして保存しておける。インポートするLMDファイルは追加可能で、いろいろな基板を一枚に配置できる。

  9. 基板上に配置できたら、あとは加工。青いマニュアルのP73。礼儀正しく行うなら、1番から順番にやる。工具の深さなども毎回行う。どの工程を飛ばしていいか?などは、わかる人だけやればいいと思う。
  10. 工具交換は専用ピンセットで行う。左手でピンセット、右手でレバー。ここが一番むづかしいかも。
    1. 左手で専用ピンセットによって、カラーリングの下を持つ

    2. 黒プラの切れ目からピンセットをいれて、チャックの穴に挿す(レバーを下げなくてもある程度入る)。

    3. 右手でレバーを下げ、さらに奥にツールを押しこむ

      外すときは左手でピンセットをもち、工具を掴んで、右手でレバーを下げるとぬけます。

    チャック根元までカラーリングがいってる良い装着例

    ダメな例。真横から見ると明らかに黒プラから出すぎている。

  11. 基本的には裏面(ハンダ面,bottom)、裏面のまま孔あけ、両面ならひっくり返して表面(部品面,top)、切断加工。

    最初の裏、裏から孔は逆にしてもいいかも。クォーター自動だと思わないととんでもないことになるので常に工程を意識しておく。

    刃の名前と形をちゃんと理解しておく。いまどの工具で行おうとしているのか、ちゃんと交換できたのか、深さは調整しなくていいのか、など、考えることはいっぱいある。

    CircuitCAM上で、どのような工具を使うのか?ということが設定保存されたのをBoardMasteで読み込むだけなので、基本的にはCircuitCAM上の最後の段階で下手な工具回しをしてると、時間も、工具の浪費もたたる。

    デフォルトだと1mmのミーリングで何でも切断するようだ、できれば2mmのミーリングも積極的に使用する。

    一番最後に内窓、外形加工だが、注意することが一点ある。それはBoard両面基板として認識されているかもしれない!ということである。どっちからでも外形加工はできるのだが、設定→工程のcuttingなんちゃらを選択して、「裏側で加工」にチェックがあるかどうか?を確認しておこう。片面でテープべたべたな場合はこのチェックがないと中央線をまたいで逆側を切断してしまう。たぶんデフォルトではチェックが外れているので片面の場合ココに注意する。

    図ではチェックが外れているので、仮に片面のみ(ハンダ面、bottom)のみだった場合、外形カット時はひっくり返さないとならない。外形カット時にこの設定を開いてチェックすれば問題ない。外形カットは一番最後なので、忘れて中央線反対側を切り出すことになるとショックが大きい。基本的に裏(ハンダ面、bottom)から加工は始まっていることを忘れないこと。

加工後

eagleページでとりあげた図面の基板加工後例

自動で枝をつくると、デフォルト(automatic)のままだと枝が多すぎ。辺の中央で枝、という設定もあっていいと思うのだが。

積層?なのでニッパーで切るときにめくれるので注意、枝は影響のないようなところにつけるべき

自動で1x3として配置させたら、意外に近接していた。これはこれでいいけど、隣同士の部分の枝が消えた。3x3だと真ん中の基板が吹っ飛ぶね。

ガラエポは透けて見えてかっこいいなぁ。

両面はスルーホール加工を手作業で行う。けどキットがまだ届いてないのでペンディング。放置の可能性大。

スルーホール LPKF EasyContac

キットは届いてたんですが、ほったらかしてたんですが、とうとう使う必要が出てきたので、使用してみました。似たようなモノにサンハヤトのスルピンキットというのもある。ので、そのあたりのページなども参考になるのでググるとよい。

ハトメの要領で両側からかしまった状態になるだけ。全部手作業であるので穴の数だけ苦労する。

CADにおいて、今までのφ0.8のところをスルーホール化する場合は0.8→1.1と変更。つまりランドもでかくしないとならない。本当に両面に実装しないと面積的に不利なんじゃないだろうか?

基板の穴 ハトメの内径 適合する部品
0.9 0.6 リード(すずメッキ)タイプの抵抗、コンデンサ、小電なTr、LEDとか、1/4W抵抗はギリです。なんとTB6549HQもコレでOK。DIP系ICも、丸ピン、平ピンのICソケットとか
1.1 0.8 TA8429HQやMP4212やSLA70XXもOKよ。連結ピンの太いほう。大きめの電コン。DSUBコネクタ基板取付。
1.5 1.0 2.54ピッチの□なピンヘッダ、小電なコネクタ、大電流なFET、1A以上の三端レギュ、モータドライバL6203とかも
1.7 1.2 かなり太いね、なに使うんやろ。手持ちの部品で言うとRTC保持用のキャパシタとか。電源系のコネクタとかかも

この表を作るのにハトメをいろいろな部品にさしてみたけど、じつはイマドキの部品からすると0.8ってガバガバなんだね。設計ルールを見直そう。基板を作り始めてた頃の抵抗を基準にしてたけど、いま1/6Wを使ってるので0.6で大体いけるのか。こんなところで次世代を感じるとは・・・

自動ポンチとあるが、自動ってハンマーを使わないってことなのか。手で二、三回押すとかしまる。あんまり押すとベークで端の穴だと割れる。というか割れた。ガラエポなんですね想定してるのは。上の表でいうと上二つと下二つではポンチの先端を交換しないとならない。いちいち交換するの大変なので、おなじポンチをもう一本ほしいかもしれない。

ちなみにキットに入っていたのはコレ,430130のようです。このポンチの先端(439130)をLPKF社が独自に削って専用工具にしてるようです。いいのか?w

いちいち袋からハトメをだすのが結構たいへん。ケース買ってくるべきか?

かしめただけでは完全な導通は望めない。確実にするために必ず両側から半田もりもり→吸い取り線で穴確保、といったことをするべき。

もしかしたらフラックス塗っといて片面半田モリ程度で毛細管現象よろしく両面塗れてバッチグー?なのかどうかはまだ試してない。

まぁしかし、設計の段階でほんとに両面必要なのか?と考えるべき、とても量産する場合はおすすめできない。

FET なモータドライバは設計上かならずジャンパが必要になってくるのは経験済み、電流を考えるとやはり両面が必須だろうなぁ。

感想

webカメラで監視したいかも。輪郭カッターの一本目の切れ味が悪くなってきたようです、ガラエポおそるべし。そろそろこのページを〆にするか。部屋のドアをあけるだけで、騒音がしてたら加工中、静かなら終わってる、と判断できる。のでカメラいらんかも。


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